理容師と美容師の違いが分からず開業後トラブル、だれも知らない意外な理由とは?

私はもともと理容師志望でしたが、行きつけのS理容室のオーナーに相談し、勧められて美容の道に進んだのです。この時はまだ17歳の高校生の時でしたので、理容師と美容師の違いはあまり分からず、理容室は男性のお客様・美容師は女性のお客様を担当するくらいの知識しかありませんでした。実は理容と美容の違いが明確で無いまま今日に至ります。実際に美容室や理容室の独立開業ではその曖昧さが原因で、保健所とのトラブルも発生しています。

トラブルが起きやすいのは、保健所の立ち入り検査の時です。理容と美容では衛生管理の方法や基準も違うので、1つのお店の中で理美容を同時に営業することは法律的に不可能なんです。お店の中で仕切りが必要なのですが、その仕切り方も現実には保健所担当職員の判断に委ねられる事が多いため、担当職員の見解の相違になり易いのです。

例えば、

  • あなたが「美容師免許」と「管理美容師免許」を持っている
  • 奥様が「理容師免許」と「管理理容師免許」を持っている

つまり二人で、それぞれ理容と美容の開業に必要な免許を持っていたとしても、この時も一つの建物の中で理美容を一緒にすることは出来ませんので注意が必要です。基本的に仕切りだけで無く、出入り口が別々になっていないと許可されません。

「美容室の入り口」「理容室の入り口」と言うことですが、私の知り合いは出入り口は別々でしたが、店内でお互いに行き来出来ることを指摘されて保健所職員とトラブルになりました。仮に双方で合意になったとしても、他の理美容室から保健所に通報があると保健所としては立場がなくなってしまうので、あらかじめ開業前に相談を繰り返して万全の準備をした方が良いようです。

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1.国家試験と免許の違い

まず、法律面で言うと

  • 美容師法と
  • 理容師法

があります。下記は簡単に私がまとめた内容です。

美容師は、美容師免許を必要とし、パーマネントウエーブ・結髪・化粧等の方法により、容姿を美しくすること」と規定されており、さらに理容師も、理容師免許を必要とし、「頭髪の刈込、顔そり等の方法により、容姿を整えること」とそれぞれ規定されています。読んで感じるように若干の違いはありますが、理美容師で無ければその違いは分からないでしょう。

美容師法第6条に「美容師でなければ、美容を業としてはならない」つまり理容師の免許しか持ってない人が美容室で働くことは出来ないということになります。又、それに伴って取得する免許も違いますが、試験に合格しただけでは免許取得は出来ません。

  • 理容師、美容師ともに
  • 試験合格後は免許申請、登録手続きを自分でやる

理容師試験又は美容師試験に合格しただけでは免許はとれません。 試験合格後に免許申請をし、理容師名簿又は美容師名簿に本籍地都道府県名(外国人の場合は国籍名)、氏名、生年月日等が登録されなければなりません。免許を取らないで理容師又は美容師の仕事をすると無免許営業になり、30万円以下の罰金を科せられるうえ、免許も取れなくなることがあります。

一度取得した免許は、特別なことがない限り一生有効です。これらの免許申請の受付は、厚生労働大臣の指定を受けて、すべて公益財団法人理容師美容師試験研修センターが担当しています。結婚して姓名など変更になった場合も同様に手続きが必要です。

2.人数と店舗数の比較

理容師、美容師を数字で比較してみたいと思います。同時に比較しているサイトは少ないようですので、私の方で調べてみました。すべて「平成27年度データ」です。
まず、国家試験に合格した人数での比較です。

  • 理容師試験  1,611名
  • 美容師試験  19,005名

と、美容師の方がおよそ12倍多くなっています。思った以上に理容と比べると凄い人数です。次は実際に美容室・理容室に勤めている人数での比較です。

  • 従業美容師数は、49万6,697人
  • 従業理容師数は、23万1,053人

これは、試験の合格者と比べても理美容では2倍しか変わりませんね。以下に美容師が途中で離脱しているかが分かる数字です。今度は、店舗数の比較です。

  • 美容所数は、23万7,525施設で前年度比1.5%の増加
  • 理容所数は、12万6,546施設で前年度比1.2%の減少

こちらは上記の従業者数と同じ、理美容の比較では2倍です。美容室の平均従業者は2人、理容室で1.8人ですからほぼ同じと言うことになります。

3.ますます進むボーダレス化

  • 理容と美容
  • 理容師と美容師
  • 理容師法と美容師法
  • 管理理容師と管理美容師

など仕事の内容から見た違い、法律から見た違い、国家資格の違い、学科試験の相似・・・唯一、国家試験の実技試験の内容だけは誰から見ても違いがありますが、総合的にほぼ同じように思います。はっきりしているのは、

  • 理容師免許取得者は辞める人が少ないと言うことです。

理容は美容以上に世代を引き継いで営業している人が多く、その分初期投資も少なくて済むし、そのままお客様も引き継ぐケースが多いのに比べ、美容は0からスタートし、さらに集客も0からスタートする経営者が多いのでリスクが高まります。美容師の経験を積んでいくとそのような状況が分かってくるので諦めてしまうと言うのが原因の一つかと思います。

今回のまとめ

法律は時代とともに少しずつ変化しています。美容学校のあり方も変わりました。試験も学校を卒業してから受験するのでは無く、在学中に受けるように変わりました。それでも現状を考えると、法律が追いついていないと言うことになります。美容師法の基本は昭和30年代初めに出来ました。法律が施行されてからすでに60年の歳月が経過しているのです。

私は国家試験実技の審査委員を10年務めた経験がありますが、当時もそして現在も実技試験に「フィンガーウェーブ」と言うピンカール技術の一つが出題されることがあります。本当に必要なのか、必須なのか・・・私には未だに疑問です。

今時、ピンカールを希望するお客様はいないでしょう。どちらかと言えば特殊技術のたぐいに入ります。覚えておいて無駄にはなりませんが、美容師になって40年の私でも一度もピンカールを営業でやったことは一度もありません。

今回は理容と美容を数字で改めて比較してみましたが、これほど美容師の道を途中で諦めてしまう人がいるのかと、正直驚きました。経営者として意識を変えていかなければならないと考えています。

美容という業種、美容師は本当に素晴らしい職業だと言えます。
男性で「この先どうしようか」と悩んでいる方がいましたら、ご一報下さい。
簡単に辞めてしまうのは、本当にもったいないです!では又。

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