1.はじめに
「お客様は差別してはいけない」
これが従来の接客業のお客様に対する常識でした。
私が美容師の見習いだった頃から40年以上経った現在・・・
プロによる接客指導を受けてもこの点においてはまったく変わっていないようです。
- お客様を差別化しない
- 公平に接すること
- 平等に扱うこと
などについては接客の絶対条件と言えます。
ところが時代が変わり、お客様の気持ちが変化しました。お客様自身が「他の人と違うサービスをお店側に求めている」ことが分かったのです。ふだんはお客様を担当する側の私たち自身もお客様として他のお店や取引会社から、知らないあいだにたくさん「差別」を受けているのです。取引先から送られてくる「お中元、お歳暮」などは年間の取引高によってあからさまに変わります(笑)
「どうぞ、ごひいきに」という言葉がありますが、ごひいきがえこひいきの元々の意味のようですから、えこひいきという言葉は過激な考え方ではなく、むしろ商売においては昔から当たり前だったのかも知れません。
今回は「お客様をえこひいきする」「お客様を差別化する」ということについて考えてみます。もしかすると読み終わった後、あなたのお客様に対する気持ちや明日からの接し方が変わるかも知れません!
2.差別化するために準備する事
今回のテーマは衝撃的な言葉ですが、あなたもきっとどこかで聞いたり見たりしたことがあると思います。
「来店するお客様の20%がその店の売上の80%を占める」
美容室に限らず、あらゆる商売でこの比率は共通していると言われています。最初は信じられませんでした。開業当初からお客様のデータはコンピューターで管理していましたが、結果を見て正直驚きました。
たくさんのお客様に支えられてお店が経営できている、その事実は変わりませんが売り上げに関しては20%のお客様で80%の売上を占めている、その結果は真実であり私にとっては衝撃でした。
お客様を差別化するには、美容室をオープンすると同時にお一人お一人の売上(施術売上・商品売り上げ)を正確に記録として残す必要があります。資金的に許すのであれば、コンピューターの導入をするのが一番です。
もし導入するだけの余裕がないと言うのであれば「顧客管理カード」のようなものを作成し、管理しましょう。この顧客管理カードは、ご存じのように「個人情報保護法」というもので外部に流出してはならないと法律で定められていますので、運用・管理には充分注意をして下さい。
お客様のどなたがあなたの美容室の売り上げにどれだけ貢献してくれるかは、残念ながらすぐにはわかりません。半年~1年ほど経過してからお客様の振り分けをしましょう。
3.具体的な差別化の導入方法
お客様をランク別にするために、ご自分でわかりやすいようにしておきます。売り上げに貢献してくれる、いわゆる得意客(お得意様)には特徴あります。
美容室のお得意様の特徴
- カラーリングとパーマなど複数のメニューを毎回希望する方
- 売り上げだけでなく、他のお客様(家族やお友達)を紹介してくれる方
- お店で販売している商品(シャンプー、トリートメントなど)定期的に購入し てくれる来店サイクルが短い方
- どこか出掛けるたびにお店やスタッフにお土産を買って来てくれる方
- シャンプー・ブローやセット・着付けなど、お出掛けやお稽古ごとなどでたびたびサロンを利用してくれる方
これらのお客様が、将来あなたのお店のお得意様になる可能性が高いと考えられます。中でも「お友達や家族を紹介してくれる」「店頭販売商品を定期的に購入する」お客様はお店にとって売上げを支えてくれる大切なお客様であることは間違いありません。
お客様のランク付けをする
では次に具体的に、ランク付けについて考えてみましょう。ランクの名称、呼び方に関しては、特に決まりというものはありません。ですからあなたの思った通りにしていくのが良いと思います。
以下、一般的なランク付けの名称をあげてみます。
- シルバー会員
- ゴールド会員
- 一般会員
- ダイヤモンド会員
- ロイヤルカスタマーetc…
などがあります。
これらの名称はあなたもどこかで聞いたりした事があるでしょう。これらの「振り分け」を売上金額のどの辺で分けていくかが、あなたの仕事になります。およそ3から5段階にお客様を仕分けして、そのランクに合わせたサービスを考えます。美容室で行うキャンペーンやイベントでは、お客様のランクづけに従ってサービスを変えていくわけです。
具体的な例だと、
- 利益還元セールのようなイベントでは
- お得意様では30%還元で、一般のお客様には5%還元・・・
という具合に還元するパーセンテージを変えていく方法です。
- 使用するタオル・カット、パーマのクロスの種類や色(カラー)で区別する
- お客様への飲み物の提供方法(無料・有料)や種類で差別化
- 施術するスペースを仕切る、セット椅子を変える
- 会員カードの色や材質で区別する
- お得意様は予約(無料あるいは有料、優待料金)で受け付ける
けるなどいろいろな方法が考えられる。
私が利用しているクレジットカード会社でも同じこと(差別化)をやっています。楽天会員でもそうですね。通常会員が商品お買い上げ代金に対して、 1,000円に1ポイントに対し、お得意様に対しては1,000円で2ポイント進呈するというような例です。
4.お客様の差別化で売上げアップへ
差別化というと、美容室の場合
- 他のライバルサロンと違うメニューをウリにしたり
- 料金を低料金にしたり
- 反対に高料金にすること
でお客様に他の美容室との違いを知ってもらうというのが一般的でした。
今回の差別化というのは、美容室側から見てお客様にあからさまに差別をするということになります。「それでは一般会員のお客様がかわいそうじゃないか」という意見もあるかも知れませんが、一般のお客様を少しずつランクアップさせて1人でも多くのお客にお得意様になってもらう(これがお客様に対する教育です)ためのしくみの1つです。これであなたのサロンの売上げが安定し、さらに売上アップにつながっていくのです。
私の失敗談とまとめ
私自身の経験ですが、お店をオープンした当時はお客様は平等に公平に扱う、ということに注意して接客していました。それが正しいんだと認識していました。
時代は変わりました。自分自身がそうであるように、所有するクレジットカードの場合でも、普通のカードよりもゴールドやブラックのカードを持つことがステイタス(社会的な地位)やプライド(自己権威)を満足させることになります。他のお客様からみれば「なかなか持つことが出来ない憧れのカード」となるわけです。
ぜひ、この顧客管理カードを準備してください。そして、あなたのお店でお客様が他のお客様と差別してもらうことで喜んでくれるようなサービスを考えて実践してください。お客様はあなたの店の「良い客」になりたいのです。
顧客管理カードの内容に関しては1つのテーマとして今後取り上げたいと思います。では又。