美容師が独立を考えはじめた時の落とし穴。その指名客はアテにするな?!

あなたは今勤めているお店で「何人の指名客」がついていますか?

近い将来「店を持つぞ!」と独立する意欲を持っている美容師のほとんどが、今勤めているお店の指名客を自分の出すお店にそのまま連れて行けると勘違いしています。

あなたはもちろんそんな過ちは起こさないと思いますが・・・。

正直私には「なぜそんな勘違いがおきるのか」理解できませんが、過去にそう言う愚かな考え方をしている美容師を何人か見てきました。中には、お世話になった経営者と裁判で争うことになった例もあります。今回は、どうして今の指名客をアテにしちゃいけないのか、アテに出来ないのかを一緒に考えたいと思います。

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1. 美容師が独立する時、お客も持ち出す?

まず自分のお店をもって独立しようとする時に、今勤務している美容室の自分の指名客をどうやって自分のサロンに連れ出そうと考えているのでしょうか?

  • お客様を担当した時に独立する事を口頭で伝えますか?
  • 経営者に許可をもらって自分の指名客にDMを出しますか?
  • そ~っとサロンのパソコンにUSBメモリを差し込み顧客名簿をコピーしますか?

そもそも今もあなたが担当しているお客様は本当にあなたのお客様でしょうか?

長年経験を積んでいる美容師でもここを所を勘違いしている人がたくさんいるようです。

  • 自分で担当しているんだから自分のお客様でしょ?
  • 以前勤めていたお店から連れて来たんだから私のお客様?
  • だってお客様が私にやってほしいって指名してるんだから?

そんないろんな理由はあると思います。

結論から言うとお客様はお店にとっての財産といえます。万一経営者に許可をもらわないで直接お客様に電話をしたりメールをすれば・・・あるいはDMを送ればそれは個人情報保護法に抵触する可能性があります。個人情報はお客様お一人お一人から許可を取らない限り、むやみに共有する事は出来ないと言うことです。

私は生保募集人の資格を持っていますが、パソコンへのID、パスワードの管理はもちろんですが、このお客様(保険契約者・被保険者・保険料支払人)に関しての情報の社外(代理店)からの持ち出しは一切禁止ですし、USBメモリなどに一時的でも情報のコピーや移動は禁止されています。

※生保募集人→生命保険募集人のことで「生命保険の募集を行う人」のことです。

生命保険の募集・販売をする人は生命保険協会が行う、募集人資格試験(一般課程)に合格し、内閣総理大臣(金融庁長官委任)の登録に登録されることで募集人の資格(保険販売資格)が得られます。あまり知られていませんが募集人資格のない人が生命保険の勧誘はもちろん、パンフレット等を使って説明する事も法律で禁じられています。

2. 既存客を連れて行く事を道義面から考えてみる

ここは冷静に考えて欲しいのですが、そもそもそのお客様を担当することになった経緯(いきさつ)はなんでしょうか?

  • 今の美容室に移る前の美容室から連れて来た
  • 先輩美容師から引き継いで担当させてもらっている
  • 新規来店時から自分が担当している
  • お客様の紹介で最初から自分を指名してくれている
  • 今回の独立は「のれん分け」のようなもので、経営者も応援してくれている

あなたが今後独立開業して、そこで働くスタッフが今のあなたのように「お客様を連れて行く」となった場合、あなたはどうしますか?

お客様にそのご案内が出来ますか?出来ないですよね。客数が減ることも重要ですが、先ほど書いたように「お客様は会社やそこで働くスタッフにとっても共有財産」という位置づけになりますから、現存するスタッフにとって財産を持って行かれる事と同じ意味になるわけです。

 3. 法律面から考えてみると・・・

個人情報保護法と言うのを聞いたことがあると思います。「個人情報の保護に関する法律」と言うことで2005年4月から施行されました。インターネットの普及で個人の情報がいとも簡単に流出する事故や事件が多発しています。きっと記憶に新しいと思います。

この法律はあくまで個人の情報を守るのが目的ですので、業種によって差はありますが基本的にはお客様情報は会社や店舗責任者(通常は経営者)が法に則(のっと)り、管理運営することが義務づけられているのです。

つまり基本的な考え方で言えば、スタッフがたとえ経営者の許可をもらったとしてもお客様から許可をもらっていなければ個人情報を共有することは出来ないという解釈になります。

ただし、次の場合ならセーフです。お客様の同意をもらっているうえに、別の店舗の経営者が同一人物の場合は特に問題はありません。

お客様から見ても「同じ美容室からもらったDM」とか「メール」という認識だからです。ここ数年、ネットの進化によってアナログからデジタルへ移行したことであらゆるものが大きく変わっています。例えばFAXでも「NTT電話帳」を名簿として送信した場合でも、

  • 必ず但し書きがあって「NTTの電話帳から引用しました」
  • 2回目からも送信させて頂いても良いですか?と質問項目があり、
  • 「はい」「いいえ」の選択が受け手側で出来るようになっています。

個人情報保護法の施行以前は、私の会社にも知らない業者から勝手にFAXがバンバン入って来ましたが、今はだいぶ少なくなりました。電話帳も「ハローぺージ個人名編」は希望者のみ配布する方式に変更されました。 携帯電話の普及で個人宅の電話番号を調べる需要が激減し、電話帳掲載拒否・番号案内拒否の契約者が多くなったことなどが主な理由です。

美容室の顧客名簿、電話帳、FAXなどの扱い方は個人情報保護法によって大きく変化しましたが、これらに共通しているのは「電子化」「デジタル化」による変化だと言うことになります。今お世話になっている美容室のお客様データをUSBにコピーしたり、スマホで撮影したりすると法律違反に問われる可能性が出て来ますから、絶対にしないで下さい。

4.今回のまとめ

スタッフから経営者になるには「意識」「自覚」が必要になりますが、これには時間が掛かります。経営者とスタッフの違いは何か・・・

これは「数値管理責任の意識」であると思います。
売上や経費、各個人の給料計算など経営者は常に数字と向き合わなくてはなりませんが、スタッフはどちらかというと目の前のお客様に新規から上得意客になってもらえる事に最大の努力をすれば良いだけだからです。

今回のまとめです。

  • 顧客名簿は会社(美容室側)の財産である
  • お客様情報は「個人情報保護法」として守られている
  • 顧客情報をコピーしたり、勝手に移動することは法に触れる可能性がある
  • 過去に「顧客情報の持ち出しが原因」で裁判になった例が身近にも数件ある
  • 以上の理由から、現在の指名客であっても自分のサロンに誘導してはならない

あなたがたとえ自分のお店を持ちたいと思ったとしても、それで経営者としての自覚が自然に生まれることはないのです。たとえて言うと、子供が大人になる成長過程の中で徐々に意識が移り変わるようなイメージでしょうか?

経営者とスタッフはまさに親子関係に似たところがありますが、親は限られた生活費の中でいかにやりくりするかを考えますが、子供は小遣いがいくらもらえるしか興味が無いでしょう。それでも、高校、大学と進むうちにやがて親元を離れなければ行けない時期が来ると自分で生活費のことを真剣に考えはじめると言う感じだと思います。

あなたに今必要なことは、独立開業する前に「いかに短期間のうちにスタッフ意識から経営者意識にシフトさせられるか」で、まずはそれが優先すべき課題と言えます。一人でも多くのお客様から愛されるサロン作りをめざして頑張って下さい!!ではまた。

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