何はともあれ、これが用意できない限り開業できないもの、それが「自己資金」です。では、独立してお店を出すには開業資金がいくら必要か?手持ちでいくら準備したらよいのか?これは非常に難しい問題です。人によって本当に違うからということなんですが、だからこそ大切と言えるかもしれません。
私の場合、30年前にお店を出すときに現金はたった50万円のお金しか持っていませんでした。思い返すととても恥ずかしい気持ちになりますが、本当なので仕方ありませんね。実はその時は29歳になっていましたが、独立する気持ちがまったくなかったのです。
いくつかのお店で修行している間に「やっぱり自分でお店出さないとダメなのかなぁ」そんな気持ちが芽生えてきて自然に独立にいたったのです。
もともと、21才で美容師免許をとってから一度も自分のお店を持とうなんていう考えではありませんでした。自分の店を持つなんて、夢のまた夢だったのです。あっと言う間に30年経ちましたが、今だからこそ言える事は最初からあまりお金をかけず始めること(独立)そしてお金を稼いでからそれを元手にさらに大きく展開して行く、というのが一番に良い方法だと言えます。
1.資金には2つの種類がある
ご存知のように資金には2つの種類があります。
- 設備資金と
- 運転資金です。
開業する店舗をテナント(賃貸)で借りる方がほとんどだと思います。その
- 賃貸料
- 看板
- 内装
- セット椅子
- シャンプーの設備
- 給湯設備など
が設備資金となります。
- お給料
- スタッフの賃金
- 月々の仕入れの支払い
- 福利厚生費
- 接待費など
が運転資金になります。
自己資金+(リースで)設備資金+(借入で)運転資金=めでたく開業となります
自己資金をたくさん準備しても、それ以上に低金利での借り入れをする方が大事だといえます。なるべく長期で借り入れをして低金利で返すのが1番でしょう。とにかく開店前からその直後にかけては、お金が思った以上に出て予算オーバーになりがちです。
ですから自己資金がたくさんあって借り入れを少なくするよりも自己資金はあまり手をつけず、借り入れをその分多くして毎月少しずつ返済して行く方が気持ちに余裕が生まれます。
2.家族や兄弟に応援してもらおう
私の場合は、現金で50万しかなかった時に開業のチャンスがきました。借り入れを予定していた当時の公的機関に相談したところ、面接担当者に「親兄弟の通帳や有価証券を持ってきてもらえれば相談に乗りますよ」と言われました。
今思うと結構審査がゆるかったのだと思いますが、要は借入額と自分や親兄弟が所有している財産がマッチしていればお金を貸す方としては取りっぱぐれがないので、貸してあげますよと言う意味だと思います。その結果450万円を借り入れすることができたので、手持ちとあわせて500万円で開業しました。
今お勤めの美容室(お店)もおそらくそうだと思いますが、リース契約になりそうなものは以下のような設備があります。
- セット椅子
- シャンプー設備
- デジタルパーマ機器
- レジ周りの機器
- マイクロスコープ
- 音響設備
- 防犯設備等
リース契約はその支払いの中に利息も含まれるので、現金で一括購入するよりもトータル支払いは当然増えますが、毎月の支払いに分割することができるのでその分現金を残しておくことができます。「経費」として参入できるのも魅力の一つです。
ただし、リース契約にも審査がありますので誰でも気軽に、というわけではありません。
3.忘れてはいけない「集客準備」
美容師は技術者とか職人と言われた時代があった関係で「とにかく技術さえよければ」という傾向にありました。腕(技術)さえよければお客様は集まる…そんな時代はとうに終わっています。もしあなたが美容師としての経験が5年から8年くらいあるのだったら、そして独立して自分の店を持ちたいと言う気持ちがあるのなら今のうちに集客について勉強してください。
開業してお客様がもし来なかったら?と考えるだけで夜も眠れなくなります。でも集客についてマスターしていれば、オープン前後から気持ちに余裕を持てることになります。
- オープン前にチラシを配るか
- 地元の情報誌に載せるか
- 新聞に広告を入れるか
- ご近所に1件1件挨拶に回るのか
- 銀行や農協、近所の会社など挨拶に行くのか
- 初めての来店のお客様に何かプレゼントを差し上げるのか
- オープン記念として何か準備するのか
- 2度目3度目とリピートしてもらえるよう、どんな仕組みを構築するのか
- 電話予約、ネット予約などの体制はどうするのか・・・
ちょっと考えただけでもたくさんありますね。
さっそく「開業のための準備ノート」を用意してあれこれ考えて、書き留めておきましょう。
まとめ
今日は自己資金について考えてみました。何をおいても資金がないことには独立は出来ないないからですが、ご自分で準備することを考えてから3年もあれば100万円くらいは用意できるでしょう。
- 自己資金は多いに越したことはないが、資金が少なくても独立は可能
- 資金には2つの種類があること
- 親や兄弟からの応援も必要であること
- 資金準備とともに、集客の準備をする事
これらを忘れずすぐに準備することです。あなたが男性なら特に恋人や奥様の協力が必要です。女性脳は男性脳と違うので、女性の考えや意見はよ~く聞いてみて下さい。男性は単純ですが、女性はそうではありません。女性側の意見は開業とともに今後の経営でも参考になるはずです。